ガレージの内装を考える
どうも「はたらく×くらす」を木と鉄で育む建築屋 育みのガレージ(有)丸善工業3代目の長善規(@maruzen3rd)です。
オーダーメイド鉄骨ガレージ「おれのガレージ」は遊ぶための空間として建てられることが多いのでオーナーさんの中には内装を貼らずに棚を作ったり道具を吊るしたりして楽しむ方もたくさんいらっしゃいます。ただ今回建築中のガレージは断熱と防音を兼ねた内装工事を施工することになりました。
打ち合わせの段階で「冬でも快適に作業したい」「近所を気にせず音楽を流しながら作業したい」というご希望をいただいたのがきっかけです。鉄骨の無骨な雰囲気を残しつつも過ごしやすさを両立させたいというご要望は最近少しずつ増えてきている印象があります。
実際にご相談いただく場面でも「ガレージなのにここまでこだわっていいんですか」と驚かれることがよくあります。もちろんです、とお答えしています。ガレージは車を停めるだけの場所ではなく趣味や仕事の時間を過ごす大切な空間だからこそ住宅と同じくらい過ごしやすさにこだわっていただきたいと考えています。
先日はそのための下地づくりを行いました。断熱と防音を両立させるためには壁の中にどんな厚みの材料をどう詰めるか天井をどう塞ぐかなど普段のガレージ工事とは違う工程がいくつも加わります。

壁下地からスタートしました。木造の内装工事と違って鉄骨の柱にどう下地を固定していくかは現場ごとに工夫が必要です。柱の位置や間隔を見ながら一枚一枚丁寧に組み上げていきます。

柱周りにも下地を施工していきます。特にこちらの面は鉄骨の棚が浮いているように見えるよう施工する必要があるため工夫が欠かせません。どう固定すれば見た目もきれいで強度も保てるか頭を悩ませる場面ですがこういう部分にこそ職人としての面白さを感じます。
実際にお客様から「棚が浮いているみたいでかっこいいですね」と言っていただけると苦労した甲斐があったなとしみじみ思います。棚一つとってもただ壁に取り付けるのと浮いているように見せるのとでは下地の組み方がまったく違います。見えない部分にどれだけ手間をかけられるかがガレージの完成度を左右すると考えています。
下地の段階でどこにどんな重さのものを取り付ける予定なのかを細かく伺っておくことも欠かせません。工具棚なのかタイヤラックなのかそれとも自転車を吊るすためのフックなのか。用途によって必要な下地の強度も変わってくるため打ち合わせの時点でできるだけ具体的な使い方をお聞きするようにしています。
このあと天井下地を施工したので次は電気配線工事へと移ります。通常の電源工事だけでなくセキュリティ関係やテレビ配線スピーカー配線なども絡んでくるので現場で混乱しないよう順序立てて配線工事を進めていきます。現場管理はなかなか大変な作業ですが段取りひとつで仕上がりの美しさが変わってくるので気を抜けません。
お客様の中には「コンセントの位置をもっと増やしておけばよかった」と後から気づく方もいらっしゃいます。工具の充電器を並べたい場所や将来的にコンプレッサーを置きたい場所など使い方をイメージしながら電源計画を立てておくと後悔が少なくなります。打ち合わせの段階でどんな作業をしたいかどんな趣味の道具を持ち込みたいかを詳しく伺うのはそのためでもあります。
天井には断熱材を敷き込みます。この断熱材は防音材の役割も兼ねているため一石二鳥の効果が期待できます。夏の強い日差しが鉄骨屋根を直撃しても室内への熱の伝わり方がまったく違ってきますし冬場の底冷えも和らげてくれます。

こちらの物件のように内装工事を行わなくてもガレージとしての雰囲気や用途は十分に満たすことができます。ただ冷暖房効率や防音性を考えると断熱材兼防音材はやはり必須といえるでしょう。うちのガレージも冷暖房がしっかり効くので夏も冬も快適に過ごせています。
栃木県南エリアは夏の暑さも冬の底冷えもなかなか厳しい土地です。せっかくガレージで趣味の時間を楽しみたいのに暑すぎたり寒すぎたりして長居できないというのはもったいない話です。断熱材をきちんと入れておくことでエアコン一台でも快適な空間を保ちやすくなります。
特に鉄骨造は屋根や壁が金属のため断熱をしないと外気温がダイレクトに伝わりやすいという特徴があります。夏場は屋根が焼けて室内がサウナのようになってしまうこともありますし冬場は逆に冷蔵庫のように冷え込むこともあります。断熱材と防音材を兼ねた材料を入れておくことでこうした温度差をやわらげることができるのは鉄骨ガレージならではの工夫だと感じています。
大切な車やバイクが熱で傷んでしまわないように換気扇の設置も忘れずに行います。ちょっとした設備の積み重ねが快適なガレージライフを支えているんです。
内装工事をするかしないかは正解が一つではありません。オーダーメイドだからこそその方の使い方に合わせて選んでいただければと思っています。棚や道具をむき出しにしてワイルドな雰囲気を楽しみたい方もいれば断熱と防音をしっかり効かせて快適な空間を作りたい方もいます。どちらも育みのガレージらしいガレージライフだと考えています。
実際に完成後にお伺いすると内装ありなしにかかわらず皆さん思い思いの過ごし方をされています。工具を壁一面に飾って眺めているだけで満足という方もいれば友人を招いてお酒を飲みながら車談義をする方も。ガレージという空間の自由度の高さを改めて実感する瞬間です。
内装工事をするかどうか迷っているという方には実際に無内装のガレージと内装ありのガレージ両方の施工事例をお見せするようにしています。写真だけではわかりにくい質感や雰囲気の違いも実例を見ていただくとイメージがぐっと湧きやすくなるようです。迷ったときはぜひ現地見学もご活用ください。
下地から電気配線断熱材まで一つひとつの工程は地味に見えるかもしれませんが完成後のガレージライフの快適さを支えているのはこうした見えない部分の積み重ねです。オーナー様が実際に過ごす姿を想像しながら日々の作業に向き合っています。
すべては心地よいガレージライフのために。ではでは。




