I様邸 おれのガレージ ファーマーズガレージ・ビジネスガレージ|栃木県小山市

栃木県小山市


施工事例データ

住所 栃木県小山市
費用 800万円~
工期 3ヶ月
使用商材 金属製サイディング(ニチハ)・遮熱塗料(キルコ)・電動シャッター(サンワ)

栃木県小山市のI様は、代々続く農家の三代目。ご実家の敷地には、長年使い込んだ母屋と、農機具を詰め込むだけ詰め込んだ手狭な納屋がありました。トラクターや耕運機を出し入れするたびに周りの道具をどかし、雨の日には作業着のまま母屋の玄関先で一息つく。そんな「なんとかなっているけれど、決して快適ではない」日常を、I様はどこかで変えたいと感じていらっしゃいました。

最初のご相談でI様が語ってくれたのは、単なる「農機具庫が欲しい」という要望だけではありませんでした。「農業も、自分の仕事も、もっとかっこよく、楽しくやりたい」。畑仕事と、ご自身で手がけるビジネスの両方を、同じ敷地の中で気持ちよくこなせる場所をつくりたい――そんな想いをお聞きし、私たちがご提案したのが、母屋を活かした事務所棟と、実用性を追求した農機具庫棟の”2棟セット”というアイデアでした。

事務所棟には、「BOSSMAN BASE」という名のオリジナルサインを掲げました。黒いガルバリウムの外壁に映える、無骨で力強いロゴ。単なる作業スペースではなく、I様自身の”拠点”であることを、訪れる誰もが一目で感じられるようにという想いを込めています。壁面には木の質感を活かしたアクセントウォールを設け、無骨さの中にも温かみのある空間に。夜になると、外壁を照らす武骨な照明がじんわりと灯り、日中とはまた違う表情を見せてくれます。

そしてもうひとつの主役が、農機具庫棟です。トラクターや耕運機、収穫用のコンテナまで、これまでバラバラに置かれていた道具たちが、ようやく自分の居場所を得ました。9m×7mというゆとりのあるサイズは、農繁期に道具を出し入れする際の動線まで考えた、実用本位の設計です。外壁には遮熱塗料を採用し、夏場の庫内温度上昇を抑制。長時間の作業や、機械のメンテナンスも快適にこなせる環境を整えました。

もうひとつ、I様がこだわられたのが屋外シャワーです。畑仕事で汗と土にまみれた一日の終わり、母屋に上がる前にさっと汗を流せる場所が欲しい――そんな声から生まれた設備で、今ではI様の一日の締めくくりに欠かせない存在になっているそうです。「農作業を、もっと楽しむための空間にしたい」というI様の言葉通り、機能とデザイン、その両方を妥協なく詰め込んだ一棟になりました。

工事は、既存の建物の解体から始まり、鉄骨の骨組みが少しずつ立ち上がっていきました。黒いガルバリウム外壁と大きなシャッターが取り付けられ、事務所棟としての表情が整っていく一方で、隣には農機具庫棟の骨組みも組み上がっていきます。丸善工業が祖父の代から培ってきた鉄骨加工の技術と、三代目である私自身が学んできた木造建築や省エネの知見を掛け合わせ、無骨さと心地よさが同居する空間づくりを進めていきました。

設計の打ち合わせでは、事務所棟のブランディングにもかなりの時間をかけました。「BOSSMAN BASE」というネーミングも、I様ご自身のアイデアから生まれたもの。ロゴサインの書体や取り付け位置、照明の色味まで、細部にわたってこだわり抜いた結果、単なる作業小屋ではなく、訪れる人の記憶に残る”顔”を持った建物に仕上がりました。フルオーダーだからこそ、こうした施主様ご自身のこだわりを、隅々まで反映できるのです。

農機具庫棟の設計では、実際にI様が使っているトラクターや耕運機のサイズを一つひとつ採寸し、余裕を持って出し入れできる開口幅と天井高を確保しました。棚には工具や消耗品を種類ごとに整理でき、これまで「探す時間」に費やしていたロスも大きく減ったといいます。効率的な動線と、道具を大切に扱える環境を両立させることも、ファーマーズガレージづくりにおいて欠かせない視点です。

完成した今、I様の敷地には、事務所棟と農機具庫棟、ふたつの「おれのガレージ」が並んで建っています。トラクターは所定の場所に収まり、農作業の合間には事務所棟でひと息つき、一日の終わりには屋外シャワーで汗を流す。「農業も仕事も、前よりずっと充実している」というI様の言葉には、機能面の満足だけでなく、日々の暮らしそのものが変わった実感がにじんでいます。ファーマーズガレージとビジネスガレージ、ふたつの顔を持つこの一棟は、I様にとって、これからの農業と暮らしを支える、かけがえのない拠点になりました。